2010年02月17日

浅倉久志さん死去…

翻訳家の浅倉久志さんが死去したとのこと…
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2010021600712

ショックだ…。
最近まで翻訳が出ていたんで、まだまだお元気なのかと思っていた。

ここ何年かのSF関係者の死の中で一番ショックだ。

なんといっても
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」や「ユービック」はすごく面白かった。
P・K・ディックの元の小説が面白いからではあるけれど、
やはり浅倉さんの翻訳があったからこそ、その面白さを日本語で
伝えることができたのだと思う。

浅倉さんの翻訳がなかったら、スンナリとはSFに入ってこれなかったと思う。

ありがとう、浅倉さん。

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2010年02月13日

「イース7」

「イース 7」
「イース 7」 PSP ジャンル:アクションRPG
★★★★

今回は、初めてPSPで新作が出た。
「マルチプラットフォーム」で出るらしいが、一向にPC版の発表がないので、PSP版を購入した。

舞台はアルタゴ。
イースの物語は中世のようなテクノロジーと古代地中海世界的な勢力図を世界観としているようだ。
アルタゴはカルタゴをモデルとしているんだろう。

「イース」はオリジンまで全作品やっているんだけど、今回から、また少しアクションゲームとしての性質が変わった。ジャンプがなくなったのだ。そのかわり「回避」というボタンができて、そのボタンを押すとサッとすばやく移動できるので、敵からの攻撃をかわすのに便利だ。
 ただ、そのせいなのかどうかはわからないが、アクションは全体的に大味になったような感じがした。どのボスとも基本的な戦い方が同じだった。ヒットアンドアウェーが基本なのはいいのだけど、それにしても本当にすべてのボスで同じ戦い方が通用したのは、ちょっと味気なかったかもしれない。
 爽快感は増したけど、少し大味になった、というのが印象だ。
 ストーリーはいつもどおり、王道的な感じだった。

 PC版が出たら買うだろうか?
 絵が大幅に綺麗になっていて、アクションゲームとしての操作感が大分違うなら買うかもしれない。基本的にあまり変更がないのなら、多分買わないと思う。



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2010年02月08日

SFマガジン 2009年 12月号

S-Fマガジン 2009年 12月号
S-Fマガジン 2009年 12月号

今月は秋のファンタジイ特集。
久しぶりにSFマガジンを買って読んだ。
イアン・マクラウドの短編が目当てだ。

特集の短編は
イアン・R・マクラウド「最後の粉挽き職人の物語」
シオドラ・ゴス「アボラ山の歌」
エレン・クレイギス「図書館と七人の司書」
M・リッカート「王国への旅」
だった。

少し長めの短編、イアン・R・マクラウド「最後の粉挽き職人の物語」
は魔法が使えるという設定の近代イギリスが舞台の歴史改変小説。
魔法が使える世界でも産業革命がおこり、より効率的な魔法が、社会を変えていく…
という少し変わった設定が面白かった。
主人公と幼馴染の美女との微妙な関係性が物語を牽引していって、
最後まで一気に読めた。
描写も相変わらず好きだ。
この人の長編歴史改変小説が読みたい。

シオドラ・ゴス「アボラ山の歌」
はコールリッジの詩を題材としたファンタジー、なのだが、
メタフィクション的構造があって、それが自分にはどういう構造になっているのか、
いまいちピンとこなかったので、十分楽しめなかった。

エレン・クレイギス「図書館と七人の司書」
は時が止まったように、誰も訪れることのなくなった図書館で、
捨て児が七人の司書たちに拾われて彼女たちの手で育てられていく、という話。
図書館の中で子供が育っていく、という部分にはあまり心魅かれなかったのだけど、
クライマックスの部分でディンシーが自分の気持ちを訴える部分にはハッとして、心が動かされた。
人は本だけでは生きていけない、という当たり前のことを再確認することが、なぜか清々しく思えて、
そこが良かったと思う。

「王国への旅」M・リッカート
キスによって息を奪ってしまうという亡霊の話。
ロマンチックなホラー小説だと思った。
幻想ホラーなのか、サイコ・ホラーなのか、最後の最後まで、的を絞らせないような書き方が面白かった。



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2010年02月03日

「存在の書」 イアン・ワトスン

「存在の書 」
「存在の書 」 イアン・ワトスン 創元SF文庫

 “黒き流れ”三部作の第三部

 はじめはついていけていたのだが、読み進めるうちにだんだんついていけなくなって、集中力が、切れた。

感想としては
・スケールでかすぎ
・やっぱりメタフィクション
というような大雑把な感慨しかない。

あとは、作者自身が「フェミニズムのユートピア」と語っているようにジェンダーSF的部分は三部作を通して目についた。社会的条件が女性優位になっているが故の社会構造が、その前提条件が崩れつつある中で、どういう駆け引きがなされるか、というのは少し面白かった。
これは、現実世界とは、さかさまになっているのだけど、自分が「嫌だなぁ」と思ってしまうところは、現実世界では女性が同様に思っていることかもしれないなぁと思った。

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2010年01月29日

「星の書」 イアン・ワトスン 

「星の書」
「星の書」 イアン・ワトスン 創元SF文庫
★★★★

 “黒き流れ”三部作の第二部。

 本書を読み始めて、「川の書」をちゃんと読めてなかったことに気づいた。というよりも、そのままの意味で読めば良かったのに、変に留保を付して読んでしまったようだ。

 それはさておき、「星の書」からは、一気にスケールの大きな、摩訶不思議な冒険物語となった。
 「カ」って本当に魂のことなのか?SFなのに魂とかあるのか?という疑問を抱きつつも、とりあえず、話にはついていけた。

 この小説は語り手であるヤリーンが実際に書いた手記であり、物語世界の中で出版される(された)ものである、というスタイルのメタフィクション構造になっている。これを三部に分けたことで、前作「川の書」が物語世界の中で影響を与え、その反響が「星の書」に記される、というところがちょっと面白かった。こういう構造が、第三部でどういう風に生かされるのか楽しみだ。

shinitiro416 at 21:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!SF:その他 

2010年01月24日

「川の書」 イアン・ワトスン

「川の書 」
「川の書 」 イアン・ワトスン 創元SF文庫
★★★

 “黒き流れ”三部作の第一部。

 巨大な川が世界を東と西に分断し、その川の中心には黒き流れという謎の物質が流れている。
世界は川の上流たる断崖から海まで存在し、それ以外の土地には何があるか、わからない、という世界観の物語。

 この世界は、一体何なんだろう、という疑問が物語を読み進めていくなかで渦巻いた。
 人類が宇宙船などの手段で植民した星なのか、遠い未来の地球なのか、それとも仮想現実的なコンピューターの中の世界なのか。ラストでは宗教的な、神秘的な存在が登場し、ますます謎が深まっていった。
 続きを読むのが楽しみだ。


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2010年01月19日

銃声とダイヤモンド

「銃声とダイヤモンド」
「銃声とダイヤモンド」 PSP ジャンル:ADV

 プレイヤーが、警察から嘱託をうけた交渉人・鬼塚陽一となって、立てこもり犯などと交渉して人質を取り戻すゲーム。

 とにかくストーリーが面白かった。物語には交渉事に関する蘊蓄がちりばめられていて、そのひとつひとつが興味深かったし、話が進むにつれて二転、三転とする捻りの効いた展開となっていてわくわくした。物語だけでも、十分に質の高いミステリー/サスペンスになっていたと思う。
 キャラクターも立っていて、キャラクターどうしのやりとりも笑えるところも多く、面白かった。

 特徴的なのは、交渉のパートだ。
 犯人との交渉はリアルタイムで進み、選択肢を選ぶか、敢えて選ばずに無視する、という決断をしつつ進めていくという感じだ。
 交渉経過によって現れる選択肢も異なりそれがリアルでよかったと思う。また、この選択肢を選んだら犯人はどんな反応をするだろう」などと考えながら、進めていく心理戦には緊張感があり、独特のテンポは他のゲームではなかなか味わえないような面白さがあったと思う。

 ただ、交渉の結果によってストーリーの展開が変わるので、交渉結果Aを狙う必要があるのだけど、これがなかなかとれない。ここはちょっと難易度が高かった。結局、総当たりで試さざるを得ないステージもあって、そこがちょっとしんどかった。
 
 とはいっても、本当に独特の面白さがあるアドベンチャーゲームだった。
 続編が出たら是非ともやりたいと思う。

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2010年01月14日

「精霊たちの家」  イサベル・アジェンデ

「精霊たちの家 」
「精霊たちの家 」イサベル・アジェンデ 河出書房新社
★★★★

 18世紀後半から19世紀後半のチリを舞台にした、ある家族の年代記だ。

 死してなお美しさの衰えない、超絶的な美女ローサや、その妹で、予知能力を備えた千里眼のクラーラ、海を渡ってやってきた異形の犬バラバース…というようなファンタジックな要素や、ロマンチックなエピソードと、それと対照的に、鉱山を発掘したり、自らの力で農場を切り開くエステーバン・トゥルエバの引き起こすリアリティがあり、かつドライな結果を引き起こすような出来事が渾然一体となって大きな物語をなしていた。読んでいて、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を思い出した。超自然的な出来事と、過酷な現実が地続きに描かれていて、大きな物語を織り成しているようなところが似ていると思った。

 後半になると、左派による選挙の勝利と彼らを代表する大統領の就任、その後に起こる軍事クーデターが詳細に描かれていて、(「百年の孤独」とは異なり、)政治性が強まり、幻想的な要素は弱まっていった。wikipediaで調べたところ、チリではアジェンデ大統領の就任と、それに対するピノチェト将軍のクーデターがあったらしく、後半部分はこれをモデルにしているんだろう。物語の前半から底流に流れていた、左派と右派の対立という要素が一気に噴出してきて、怒涛のような展開になっていた。その中で、かつて右派、保守派の典型的な人間像ともいえたエステーバン・トゥルエバの変化がなんとも痛ましかった。
 虚実がないまぜになっているところもこの小説の魅力だと思った。いったいどこまでがアジェンデの経験した出来事で、どこまでが創作なのか、興味をそそられた。

shinitiro416 at 20:03|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!主流小説:南米 

2010年01月09日

「盗まれた町」 ジャック・フィニィ

「盗まれた街 」
「盗まれた街 」 ジャック・フィニィ ハヤカワ文庫SF
★★★★

 ある田舎町で、「親しい人がどことなく別人に思えてしまう」、と訴える人が突如として増加した。開業医を営むマイルズは、はじめ、それを単なる集団ヒステリーとして片付けてしまうが…という話。

 侵略テーマSFの古典。
 自分の身近な親しい人が、未知のなにものかに人格を乗っ取られていく…という恐怖を描いている。小学生のとき見た「スペースインベーダー」という映画を思い出したが、もちろん、この小説のほうが古い。
 読んでいて、「この友人たちはすでに別人になっているのでは?」などと疑いながら読んでいくので非常にハラハラした。また、主人公の恋人役であるベッキィがとても可愛らしく、それが故に「あぁベッキィが別人になってしまったらどうしよう」と主人公の心配もよく理解でき、感情移入できた。
 ラストはちょっとあっけない感じだった。そんなことぐらいであきらめちゃうのかよ、と突っ込みたくなった。しかし、大団円のハッピー・エンドというわけでもない、変な微妙な感じは、やっぱりフィニィらしくて、それはそれで良いと思った。

shinitiro416 at 21:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!SF:侵略もの 

2009年11月04日

「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦

「夜は短し歩けよ乙女」
「夜は短し歩けよ乙女」 森見登美彦 角川文庫
★★★

 主人公である「先輩」が思いを寄せる「彼女」は天真爛漫な女の子。「先輩」はなんとかして「彼女」の外堀を埋めようとする…という話。
 
 相変わらず、森見登美彦の描く主人公は、若いにもかかわらず何故か哀愁を帯びている。そんな主人公の「先輩」は「彼女」の外堀を埋めるべく、「なんとか彼女の目にとまる作戦」をし、彼女の行く先々に出没する。このいつまでたっても外堀ばかり埋めていて、本丸を攻めようとしない、という「先輩」の姿勢は見に覚えがあるようで、ないようで(どっちなんだ)、とにかく読んでいて懐かしいような、恥ずかしいような気持ちになった。
「彼女」は天真爛漫でとても可愛らしいのだけど、それ以上に、「先輩」への変な感情移入のほうが勝ってしまった。
 なんとなく「太陽の塔」にも似ているのだけど、後味はこっちのほうが断然いい。なんだか心が「ホッ」と暖まってしまうようなラストだった。

shinitiro416 at 20:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!ファンタジー:現実世界