2008年03月04日
「不思議のひと触れ」 シオドア・スタージョン

「不思議のひと触れ 」 シオドア・スタージョン 河出書房新社 ★★★★★
〈奇想コレクション〉の一冊
スタージョンのベスト版短編集。どの話も読みやすくて面白かった。
特に気に入ったのは、「もうひとりのシーリア」「裏庭の神様」「不思議のひと触れ」「ぶわん、ばっ!」「閉所愛好症」「孤独の円盤」だ。
「もうひとりのシーリア」はホラー小説。後半の展開もいいけど、発端というか、主人公が奇妙な出来事に関わりをもっていく過程がいい。主人公の、周りの人間に対する異様なまでの興味の持ち方がおもしろい。
「裏庭の神様」はドラえもんの「ソノウソホント」を思い出した。もちろんこっちの方が先だけど。嘘つきの夫と嘘が大嫌いな妻との間の緊張関係がなかなか良いし、ちょっと笑えるところがまたいい。
「不思議のひと触れ」は甘い、甘い、ラブストーリー。最後の一行が良いね。ジーンときてしまった。
「ぶわん、ばっ!」はジャズ小説。主人公の計略がうまくいくかと思いきや…。“ぶわん、ばっ!”と逆転するところに唸った。この小説も締めの一行がなんともいえない読後感をもたらしてくれた。
「閉所恐怖症」も他の小説もそうなんだけど、はじめのシチュエーションからは何が起きるか予測できないところがいい。弟との確執、ガールフレンドとの微妙なカン関係、おもむろに訪ねてくる美女…ここから、まさかあんな話になるとは思わなかった。
「孤独の円盤」これも“孤独”をテーマにした小説。デートに誘われたヒロインが裏切られる場面は胸が痛い。しかし、孤独な人間が救われる、という展開は何度読んでもこころが動かされてしまう。“どんな孤独にも終わりがある”。なんて優しいフレーズなんだろう。

